慢性子宮内膜炎
慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜に様々な菌が持続的に感染し、慢性的に炎症を起こしている状態です。多くは無症状ですが、近年不妊症との関連が明らかになり、着床不全、反復流産、早産に関係することがわかってきました。
慢性子宮内膜炎と不妊症
不妊症患者の約2.8~46%に及ぶとされ、着床不全(子宮内に胚が着床しないこと)の14-31%、原因不明不妊症の28%、原因不明習慣流産の9-13%に、慢性子宮内膜炎が見られることがわかりました。また、慢性子宮内膜炎が認められた方に対して、治療を行い、治癒した群と治癒しなかった群を比べると妊娠率(65.2% vs 33.0%)、出産率(60.8% vs 13.3%)も、治癒した群の方が良好であったことが報告されました。
診断と検査
慢性子宮内膜炎の、明確な定義や病態は未だ確定しておらず、以下の検査を組み合わせて総合的に判断します。
当院では、以下の検査を行っています。
⑴子宮鏡検査
子宮内膜に、
①微小ポリープ(小さな多数のポリープ)
②炎症性の発赤
③多数の赤点斑
④内膜の浮腫状の肥厚
などを認める場合に、慢性子宮内膜炎を疑います。
しかし、確定診断にはならず、他の検査と併用する必要があります。
⑵子宮内膜病理組織検査(CD−138免疫組織染色)
正常の子宮内膜では認められない形質細胞の子宮内膜間質への浸潤を、CD-138免疫組織染色という特殊な方法で確認することで、診断されます。
(自費検査:15000円)
⑶子宮内フローラ検査(Varinos社)
子宮内の善玉菌・ラクトバチルス属菌の割合を調べます。ラクトバチルス以外の細菌、常在菌や細菌性膣症の原因菌の存在と割合を調べます。
(自費検査:44000円)→現在、特別格安価格で実施中
治療
- 抗菌薬の内服
- サプリメント(プロバイオティクス、ラクトフェリン)