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排卵誘発剤

 排卵障害は、不妊症原因の約25%を占めると言われています。排卵障害に対しては、その原因を調べた上で、以下の薬剤を使用することが多いです。

クエン酸クロミフェン(販売名:クロミッド)

 抗エストロゲン作用により、内因性のエストロゲンと競合し、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を分泌することにより、排卵誘発の効果があります。抗エストロゲン作用のため子宮内膜の菲薄化や頸管粘液の産生が抑制されることがあります。

シクロフェニル(販売名:セキソビット)

 クロミッドに比べて、抗エストロゲン作用は弱いが同様に排卵誘発効果があります。子宮内膜の菲薄化や頸管粘液の分泌抑制の作用も小さいです。

アロマターゼ阻害剤(販売名:フェマーラ)

 月経期に短期間だけ服用して、一時的にホルモンレベルを下げ、その反作用を利用して卵巣を刺激します。クロミッドと比較して子宮内膜菲薄化や子宮頸管粘液の分泌抑制が少ないというメリットがあります。またクロミッドより生産率が高く、多胎率が低いとも言われています。

 乳がんの治療にも使用されるお薬ですが、抗がん剤ではありません。不妊治療クリニックでは自費診療で広く使用されてきましたが、2022年4月にようやく保険適用となり、使用しやすくなりました。

排卵誘発注射製剤(ゴナドトロピン製剤)

 排卵誘発剤注射製剤(ゴナドトロピン製剤)は、排卵誘発剤(内服)で排卵しない場合や妊娠に至らない場合、また、体外受精の採卵目的に使用します。遺伝子組み換えrFSH製剤(販売名:ゴナールエフ)がペン型で自己注射が簡便でありよく使われます。

 月経期より連日投与を行い、卵胞を計測しながら成熟するまで毎日注射します。

 排卵率、妊娠率は、内服製剤に比べて良好ですが、多数の卵胞が発育することがあり、副作用の卵巣過剰刺激症候群や多胎の発生に注意が必要です。そのため卵胞を計測しながら少しずつ増量し、できるだけ単一の卵胞発育を目指しますので、排卵まで最長4〜5週間を要することもあります。発育卵胞が多すぎる場合は、多胎や卵巣過剰刺激症候群を避けるために途中で注射を中止する場合もあります。

 

 どの排卵誘発剤が適しているかは、患者様それぞれによって違います。また、使用する際は副作用に注意しながら、超音波検査により経過観察をする必要があります。排卵誘発剤使用に習熟している生殖医療専門医などでの管理をお勧めします。

 

産婦人科専門医 生殖医療専門医 女性ヘルスケア専門医

小谷 早葉子

 

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